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ライターに必要な素質

ライターに必要なのは文章力。

それは大前提ではあるものの、当然それだけでは仕事は成り立ちません。

 

文章力だけで良いものが書けたり、クライアントさんから喜ばれたりということはなく、全体の必要なスキルの半分くらいかなと、25年ほどの経験を通して感じています。

わたしが「ライター」とこのブログで定義しているのは、他者からのオファーやリクエストを受けて、ご依頼の趣旨や意向に沿った文章を納品する人のこと。

なので、ブロガーやアフィリエイターとは、やや異なります。

また、純粋に文章を書くのが好き、上手、書くことで何かを表現したい…という人は、アーティストや作家さんと呼ぶべきかなと思います。

↑  この場合は「作品」と呼びますよね。

わたしが、書いたものを(キャッチコピーであっても)「作品」と位置付けないのは、そういう理由です。

 

キモは「他者からのリクエストを受けて、ご依頼の趣旨や意向に沿うものが納品できる」こと。

「書く=形にする」というのはアウトプットの最終形態ですが、その作業も実は「取材・打ち合わせ〜〜〜納品完了まで」の、一部でしかありません。

ライターに求められるのは、「文章になるまで」もしくは「文章という形になってから」の、コミュニケーションを軸とした、以下のようなことではと感じています。

 

ライターに必要な5つの素質

探求力がある

打ち合わせの内容や、インタビューで聞いたこと以外にも、文章を組み立てていく際にさらなる「材料」が必要になることがあります。

たとえば、トマト農家さんの記事を書くことになった場合、その時に聞いた話だけでなく、最近のハウス栽培のトレンドや、これまでの農業の流れや時代背景、地域の実状、気候風土など、もっと大きなバックグラウンドを知っていないと、深みのあるリアルな記事にはなりません。

このへんのリサーチを、誰に言われずとも積極的にできるかどうか。

当然、時間も手間もかかる作業なのですが、これが自発的にできること。

「聞いたことだけでまとめちゃえ」という姿勢の文章は、校正・校閲していると透けて見えるものですし、質の高いものにはなりません。

根拠となる資料や人物にあたりを付けられる探求力やセンスも、文章の説得力や力強さを左右します。

面倒くさがらず、テーマ周辺の情報を調べたり、勉強する意欲は必須でしょう。

 

つねに「意図」を見失わない

オファーがあって書く以上は、その文章は、自分の書きたいことを書くものではありません。

文章の目的や意図を見失わないこと、それを意識していつも立ち返ることができること。

そのあたりの不安や疑問があれば、すぐに編集者なりクライアント様さまに確認すること。

これが簡単そうで、意外と難しいものです。

どこかに自分らしさとか、自分の知っていること、書きたいことを盛り込みたくなるものですが、そうなると往々にして主題からずれていきます。

ライター名が明記されるコラム等でなければ、自分の書きたいことはほんの1滴程度、または匂う程度で加減できること。

目的や意図から逸れない、客観性や精神力が必要です。

 

ヒアリング力

基本的に、書くために最も重要なのは「ヒアリング」だと思っています。

ライターに仕事がくる、というのは単なるまとめ作業ではない仕事が多いものです。

何人にも取材が必要とか、深く掘り下げたお話をうかがいながら人物像にせまるとか、どういう方向性のものをつくっていきたいか、その根底にあるコンセプトを探りあてたうえで言葉化するとか。

基本的に「対・人」を通して、書くための材料を引き出す作業(=取材)が発生するものです。

なので、相手の思いを聴く(聞くより、傾聴というニュアンスが近いです)ことが、仕事の真髄かもしれません。

感覚的には、「聴く > 書く」 これくらいのバランスでしょうか。

また、打ち合わせをしたはずなのに、提出した文章と求められているものがずれている、お互いの認識にすれ違いがある、ということもしばしば起きるもの。

齟齬を修正するためには、お互いの意図や思いがどこにあるのかを理解しなければなりませんが、そこで冷静に歩み寄り、対話をする能力も必要になります。

その点でも「ヒアリング」の力は大事なのです。

 

臨機応変さ

文章はとにかく「直される」「最後まで修正がかかる」のが常です。

最初の打ち合わせから、予定や方針がどんどん変わることもありますし、そもそもビジネス自体も流動的なもの。

1か月前に話したときと状況が変わってきちゃって…ということもあります。

ウェブメディアの記事にしろ、ホームページの文章にしろ、納品する文章は作品ではなく、クライアント様のお商売を伝える大事な道具です。

立ち位置や目線を変えて、球を打っていかないといけないこともあり、臨機応変さが求められます。

何日もかかってひねり出した、気に入った表現があっても、捨てていかないといけないこともあります(涙)

 

体力がある

最後はこれに尽きると言っても過言ではありません。

書いたものへの修正作業はほぼ必須ですし、締め切り日時に合わせて編集部やクライアント様、デザイナーさんとの微調整のやりとりのラリーは入稿直前まで続くことが多いです。

(期日があるものは、夜中でも作業が発生することも)

また、「何時から何時までやって終了」という性質の仕事でもなく、リテイクもありますし、文章の完成度や分かりやすさ、質を追求すると終わり時間というものがありません。

(たったひとつの的確な単語を探し当てるまで、何時間もかかることもあります!)

最終的には、自分とクライアントさまが納得する品質のものができるまでの、体力と粘り強さがものを言います。

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