「どなたでもウェルカム」は不毛なマッチングを呼ぶ
クライアント様には、何度も何度もお伝えしていること。
「お客様像を具体的に考える」こと。
これはもう、無形のものを販売している方にはとくに必須となる作業なわけですが…
やっぱり「お客さんが来なくなる、減る、限定されるからこわい」と感じる方も多いように思います。
でもですね、「誰にむけて」を決める作業をしないと、発信の方向性(どんな内容を、どんな手段で、いつ伝えるか など)が定まらない→文章が書けない→デザインも決まらないのです。
そして「どなたでもウェルカム」になっていると、一見親切なように思えますが、不毛な(合わない)マッチングも起こってしまいます。
自分の提供しているサービスとは違う趣旨の内容を求められ、相手の無理な要求を飲みこまざるをえなかったり…
「書いてあることと違う」と責められたり…
そうなると、あなたもお客様も悲しい思いをしますし、モヤモヤしてしまう…
お金も関係していることなので、後味がよくないことになってしまいます。
やっぱり「絞り込み」は必要だと思った出来事
なんてことを、今は強くお伝えできるわたしですが…
「おたすけライティング」をはじめたころは、やっぱり「お客さま像」が全然具体的になっていませんでした汗
ちょっと振り返ってみます。
わたしは24歳から今に至るまで、ブランクありつつも、約15年ほどライター業をしてきました。
以前のメインクライアントさまは、企業や行政機関などでした。
新聞広告、パンフレット、チラシ、ウェブサイトコンテンツ…
ひととおりのご依頼をいただき、クライアントさまの意図やイメージを伝える、求められるものを納品してきたわけです(手に渡るお客さまの方ではなく、、、)。
一方で、地域情報誌の取材・執筆も多かったため「不特定多数に広く伝える」ことも常、でした。
ですので、正直に言うとそこまで戦略的な提案も、お客さま像を考える必要もないまま、ぼやけたままにきてしまったんですね(もちろん、仕事はすべて最善を尽くしてきたつもりですが、赤面ものですね)。
でも、どこかでそんな状態に疑問を感じていました。
「わたし、誰に何を伝えたいんだろう?」
そこでやっと、マーケティングについてあらためて学んだわたしは、「対象をしぼって伝える」ことの重要性と、下請けではない仕事のやり方もあるんだと、肌で感じたんですね。
それで、少しライター仕事はお休みして、仕事のあり方を転換しました。
文章作成に困っているひとの手助けとなるライターになりたい…という気持ちから、屋号も「おたすけライティング」に。
イメージでたとえるなら「まちの電器屋さん」のライター版。
日常であれこれ発生する「書けない」「作れない」お悩みを、なんでも、できるだけ解決したいと思っていたんです。
そのころの名刺にもそんな文言を書いていましたし、回覧板の書類作成などもやるよ~という気持ちでいました。
でもある日、こんなお願いがあったのです。
「子どもの通う小学校のPTA会報に載せるやつ書いてくれない?」と。
ちょっと離れた地区の学校でした。
わたしはその学校がどんな雰囲気なのかも知りません。
そのひとがどんな気持ちで子どもたちに接しているのかも知りません。
(いくら書けないと言っても、それはあなたの役職の仕事では…?
面倒でも、子どもたちへの思いがあるなら書けるものでは…?
それをサクッと他人に依頼しようという発想のひともいるのか…)
世の中には、こういう代筆作業をしている方もいるようですが、わたしは頑固なので、ただただ字数とスペースを埋めるため、思いも入らないような仕事はしたくないと感じてしまいました。
「なりすまし」ても、お金をいただいても、その文章を書こうとは思えなくて…
結局その場でお断りしてしまいました。
そして反省。
このオファーをくださった方は悪くないのです。
お客さま像を考える、決める重要性はわかっていたつもりでいたのに、深掘りするまではいっていなかった。
自分の中でのお仕事に対する設定のなさ、甘さが招いたことだなぁと。
誰でもない、自分が呼び寄せたお客さまなのです。
そんなことがあって、その後またしばらく考えました。
「わたしはどんな人のお役に立ちたいんだろう?」
「どんな人なら、幸せにできる自信があるんだろう?」
「自分はどんなクライアントさまとおつきあいしていきたいんだろう?」
掘り下げた結果、大枠として、
●女性で個人起業されている方(活動されている方)
●形のないサービスを扱っているひと
●書くことにストレスを感じているひと
●ひといちばい繊細で、ビジネス投稿にありがちな、あおり系・おどし系・自己中心的な書き方は嫌だというひと
●他人の時間を尊重できるひと…(もっとあります)
といった方向性が定まり、今のお客さま像へと至ったわけです。
「迷走」「試行錯誤」を土台にお客さま像を育てる
そんなわけで、自分の経験上「お客さま像を決める」作業は必須だと思うので、クライアントさまにも力説してしまうのです。
ただ、はじめからお客さま像が明確に定まることは少ないかもしれません。
わたしのように迷走したり、試行錯誤のなかから生まれるもの、ちょっとずつ変わっていくものでもあります。
ですが、自分ひとりしか実働できる労働力がなく、形のないサービスを扱っている方ならば、ビジネスのすべてを決めていく重要な要素です。
「自分のお客さまは誰なのか?」
つねにこの問いを前に置いて、向き合い、お客さま像を育てていきましょう。
ライティングの内容も、そこからすべて始まります。